先日、「世界最大級の求人メディア「Monster.com」ソーシャルリクルーティングに参入!BranchOut・LinkedInへの影響は?」という記事で、Monster.comがBeknownをリリースしたことを取り上げた。BeKnownは、Facebook内にプロフェッショナルネットワークを作ることができるアプリである。
すでに2010年には、同様のコンセプトで作られたFacebookアプリ「BranchOut」がリリースされていたが、ここにきてBranchOutが新たな戦略に打って出た。
2011年10月3日にリリースされた以下の記事のとおり、BranchOutが、Monster.comと双璧を成すアメリカ最大級の求人サイトであるCareerBuilder.comとのパートナーシップを発表したのだ。
CareerBuilder Partners with BranchOut to Bring More Social Connections
to Job Search
「Linkedin on Facebook」というコンセプトでスタートしたBranchOutは、その先見性とスピードでユーザーを拡大した。2011年5月には、スタートアップとしては異例の13.6億円(18百万ドル 76円/$で換算)の増資(http://tcrn.ch/lx30Mb)を行っている。さらに、6月には求人を掲載できるオプションを発表し、約1ヶ月で一気に月間アクティブユーザーを300万人まで拡大している。しかし3ヶ月後の現在は、一つの節目を迎えており、過去6ヶ月のアクティブユーザー数は下記のとおり。
※直近6ヶ月 参考 appdata
一方、少し遅れて6月に満を持してMonster.comから発表されたBeKnownは、人材ビジネスとしての認知度、経験、ユーザー数の土壌を武器に着実にユーザを拡大している。先日のFacebookのイベントf8での発表以降、さらに拡大のスピードを上げ300万ユーザーも射程距離におくまでに成長している。
※直近6ヶ月 参考 appdata
まとめ:今後の動向に注目
米国の大手求人サイト2社がFacebookアプリによるソーシャルリクルーティングに参入したことは、今後の人材採用活動に大きく影響することは間違いない。ますます、Facebookが人材採用のプラットフォームとしての存在感を強めていくことになるだろう。
こうした大手求人サイトの動きに対して、登録ユーザー数が1億人を超え、新規サービスに対して圧倒的な優位を誇るLinkedInがどう対応していくのかは注目に値する。
日常的に利用しているFacebook上で採用/就職活動ができることを便利と考えるユーザーも多いだろうが、やはりプライベート利用のFacebookとビジネス用ネットワークであるLinkedInは分けて利用したいというユーザーも根強い。
企業としては、どれかのサービスに絞るのではなく、並行して複数のサービスを利用して、効果測定をしながら判断するという動きも出てくるだろう。
業界全体の健全な競争による切磋琢磨は、利用者にとっては、サービスの種類や価格などの選択肢の増加につながる。これは、企業の人事担当者にとっても、求職者にとっても望ましいことである。ソーシャルリクルーティング市場は、まだまだ創出期であるが、近い将来2社以外にも様々な企業が参入し、サービスが多様化することが予想でき、今後の動向に引き続き注目したい。